ルワンダ国、さくら社算数ソフトの普及実証事業が完了

2018年10月から実施してきたJICA普及実証事業(完了報告書)。コロナ禍を挟んだため事業開始から4年が経過、この度、12回目の現地渡航を行いました。本事業は今年末に完了しますが、日本人メンバーによる現地渡航は今回が最後となり、残りの業務はルワンダ国内の現地スタッフに依頼することになります。

2015年9月のルワンダ・ケニア視察渡航、2016年4月~2017年4月に実施したJICA案件化調査(完了報告書)など、さくら社様のルワンダ向け算数ソフト開発事業を7年以上にわたって伴走させていただきました。

さくら社横山社長のブログ(ルワンダ関連)を読み返せば、紆余曲折あったこと思い出します。2015年9月時点でUSD1=RwF700くらいでしたが、今はRwF1,000前後。キガリ市内の道路が次々に整備され、立派な国際会議場(Kigali Convention Centre)が設置され、数々の開発パートナーがルワンダの学校教育を支援する取り組みに参入しました。そんな中、日本とルワンダで様々な人と出会い、算数ソフトを紹介し、皆さんからの助けを得て、知恵をお借りしながら、ルワンダの小学校向け算数ソフト(LMS付き)のプロトタイプを完成させることができました。

製品名はSAKURA SANSU Interactive Mathematics、略称IMです。ルワンダの小学校の新カリキュラムに対応し、英語と現地語(Kinyarwanda語)で表示切り替え可能。オンラインでも、オフラインでも稼働します。WindowsPCでも、XO-OLPCでも稼働します。先生のPCをプロジェクターに繋げて教室のスクリーン(あるいは白い壁)に映し出して、算数の概念理解に役立てても良いし、児童の手元のパソコンやタブレットを使えば、子ども達の計算練習が高速で進み、計算概念の理解がグッと深まります。今まで簡単な足し算でも、紙に棒を描きながら(両手の指を折りながら)一本ずつ数えていた子ども達が、パッと暗算できるようになります。

教室の雰囲気も変わります。なにせ、子ども達が興奮してしまい、算数ソフトの練習問題に正解した時の音が止みません(教室内のコントロールが大変かも)。子ども達にとってみれば、今までは練習問題に取り組んでも、なかなか先生に採点してもらえませんでした。「出来ました!」と手を挙げても、教室内には大勢の友人達が競うように「Teacher, Me!!」と指を鳴らしています。教室内を歩き回りながら赤ペンで採点してくれる先生も居ますが、全員をカバーできるわけもなく、時間切れで自分のところまで来てもらえない。ところが、IMなら、計算したらすぐに「やったね、正解!」「残念、不正解!」という反応が返ってくるのです。

運が悪けりゃ、難しくて分からない練習問題に困っている時、手を挙げずうつむいている時に限って、先生に指名されたりする。仕方なく教室の前へ出て、(分からないなりに)黒板に計算の結果を書くけれども、先生からは「不正解、誰か彼(彼女)を手伝ってやれる人居ますか?」と言われ、スゴスゴと机に返される。みんなの前で恥をかかされ、先生からは何のアドバイスも指導もない。それが、IMだったら何度でも挑戦できるし、分からなければページを「理解・説明画面」に切り替えて、アニメーション付きの例題を何度もじっくりと閲覧すれば良い。IMは嘲笑したり、怒ったりしない。

そんな場面を何度も見てきました。IMが活躍する教室は、先生も、子ども達も皆ハッピーです。他の開発パートナーも、ルワンダの学校教育にICTを活用すべく、デジタル教材の開発・普及実証に取り組んでいますが、算数教育へのインパクトという意味でIMに比肩するデジタル教材は存在しません。この素晴らしい教材を本格的な教材パッケージとして完成させ、ルワンダに、アフリカ諸国に、普及・販売していく夢に向かって更なる挑戦が続きます。